史上最年少での賞金王を目指す石川遼(18)=パナソニック=は、ハードヒッター特有の“持病”と闘いながら最後の階段を上ろうとしている。石川の豪快なティーショットは、決まれば圧倒的な強さを発揮するが、調子が悪ければスコアを崩す最大の原因となる両刃の剣だ。
ダンロップフェニックス(宮崎・フェニックスCC)2日目まで、石川は1アンダー20位とスロースタート。苦手のパー3でスコアを崩していることも理由の1つだが、得意のロングホールでバーディーが獲れていないのがスコアを伸ばせていない最大の要因だった。
同大会2日目までパー5でバーディーはわずかに1つだけしかない。2オンを意識して振ったドライバーが左へ曲がり、打球は松林へ。きざまざるをえなくなっている。
ここ一番で出る左へのひっかけは、長距離砲や名手の多くが悩まされる問題だ。
メジャー9勝でベストセラーレッスン書『モダン・ゴルフ』を残したベン・ホーガン(米国)もフックに悩まされていたが、1946年のある夜、「ザ・シークレット」と呼ばれたフェード打ちの極意を思いつき連戦連勝。TV局や出版社が、「秘密を売ってほしい」と殺到する騒ぎにまでなったほど。
ホーガンはのちに、「トップで左手首を甲側にコックすること。ただ、へぼゴルファーには無理」などとフェード打ちの極意を雑誌に説明。これが本当にその「ザ・シークレット」だったかどうかは分かっていないが、世界中のゴルファーが現在も悩み続けている課題であることは事実だ。
また、石川はダンロップフェニックスで、昨季米ツアー賞金王のビジェイ・シン(46)=フィジー=と2日間同組でラウンドし、世界のレベルを改めて実感した。シンは、ひざの故障などに悩まされているが、188センチの長身から繰り出される一発は豪快そのもの。「ビジェイのドライバーには迫力がある」と、そのパワーにびっくりしていた。
それでも、175センチの石川がシンをオーバードライブする場面も多く、そのフルスイングには、目を見張るものがある。最近、ドライバーのシャフトを変えるなど試行錯誤しながら安定感を模索しており、トレードマークのフルスイングを続けている。
石川が「ザ・シークレット」にたどり着くのはいつの日だろうか
PR