高校生で世界にはばたき、25億ものスポンサードを得ている
石川遼。
そんな遼クンを目指すことはできるのか?
賞金王・片山晋呉が語る。
■高校生でプロになるのは正しいのか?
片山晋呉選手が今年のマスターズトーナメントで活躍する中で、自分以上に脚光を浴びるゴルファーがいた。それがまだ17歳の少年、石川遼選手だった。華のある独特の雰囲気は、努力では得ることのできない天性の物を感じさせる。「お父さんに聞いた『息子にしたい有名人』」ランキング(オリコン調べ)でイチロー選手に次いで2位に入っているほどの人気ぶりだ。自分の子供がこうだったら、と思う親は多い。
では、片山選手は石川選手の今の活躍をどう考えているのだろうか?
「高校生でプロになったのにすでに活躍している。僕が彼のマネージャーだとしたら、高校生のうちはプロにはさせなかったと思います。今から振り返ると中学、高校の頃は楽しい時間だったと思います。ゴルフを長く続けていく上では、そうしたことも大切だと思います」
もちろん人気だけではない。15歳で出場したプロのツアーで優勝、16歳でツアープロに、そして17歳で賞金1億円突破。すべてが史上最年少という破格のスケールを持った選手だ。それでも、片山選手は懐疑的でもある。二度と帰らない子供の時間を賭けるに値するかどうか。親がしっかりと見極めてやらなければならないということか。
■石川家と片山家に見習うところ
石川選手が高校生でプロとなっているが、低年齢化は世界的な流れでもある。女子では特に海外で若い選手が活躍する傾向が強い。また最近は日本でも、宮里藍選手、横峯さくら選手。さらには今年デビューした「キンクミ」こと、金田久美子選手は世界ジュニアの史上最年少王者でもある。
片山選手自身は、実家がゴルフ場を経営しているために、自然とゴルフに触れる機会に恵まれた。しかし、そうでなければ、子供の頃からゴルフをさせるべきなのか?
「女子は活躍の年齢が早くなっています。それは特にクラブの性能が良くなっていることもあります。ただし、1歳くらいでやらせる親もいますが、早すぎるし、せめて5、6歳くらい、あるいは10歳手前くらいで興味を持って自分がゴルフをしたいという気持ちがあることが大事ですね」
ちなみに石川選手が初めてゴルフをしたのが6歳時。父親に連れられていったのがきっかけ。そこから強制されることもなく、自らのめり込んでいったのだという。
「僕は中学生になって、日本のジュニアに出るようになりました。(周りを見ていて)そこでスコアが悪いと怒る親がいるんですけど、怒る親の子はたとえ上手でも、その後ゴルフが嫌いになった人が多いですね。僕は両親にゴルフを練習しろと言われたことはないです。だから僕はゴルフ以上に楽しいと思うものが見つからないくらいに楽しいですよ。これから子供さんにゴルフをさせるなら、自分からやりたいと思わせる環境を作ってあげることが大事ですね」
あなたは、子供のスコアが悪いとむやみに怒鳴ったりしていないだろうか。親は怒ってはいけない。要はそれだけなのだ。
■ゴルフでもイチローは出現するか?
イチロー選手をはじめ、今では毎年のようにプロ野球選手が海を渡る。日本の選手は優秀で、各チームで即戦力となっている。そして日本国内では考えられないような多額の契約金を得る。では、ゴルフではイチロー選手のような神がかりな存在は出てくるのか?
「日本のゴルフも最近はレベルアップしています。招待選手が日本のツアーに出場した時でも、調子が悪いと予選を通らなくなってきています。日本のレベルは招待選手が一番わかっているでしょう。海外で活躍するなら、今田(竜二)選手のように小さい時から行っている方がいいと思います。これからは10代、20代で最初から向こうに住んでプレーする人がたくさん出てくるでしょうね」
話に出てきた今田竜二選手は14歳で単身渡米。アマ時代はタイガー・ウッズ選手のライバルとして、また現在はツアーで活躍して、成功例として認知されている。また、最近はゴルフ以外のあらゆる分野で早期に子供を海外に出す親が多い。その選択肢は正しいのか?
「僕は日本のツアーでやるのが好きだし、(自身が)向こうでずっとやるのは合っていないと思います。日本のツアーもレベルは高いし、自分がやることさえわかっていれば、メジャーでも成績は残せるということがわかりました」
たとえ日本にいても、海外で結果を出せる片山選手のような人は存在する。とにかく海外へ、ということではなく、「合う」「合わない」で判断するべきだろう。ゴルフ版イチローは近い将来、きっと誕生しているはずだ。
▼月刊石川遼
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